モノ愛・モノノイヒカ

量産品もいいもんだ

BHAKTA オピウム インセンス

お香が好きだ。香水は苦手なのにお香が好きなのは、いかにも気候風土に影響された好みという感じ。

もっぱらお気に入りなのはオピウムのお香。オピウムとは「阿片」のことだが、もちろん、オピウム香に阿片の成分は含まれていないと思う。が、その危ういネーミングを彷彿とさせるような、どこか怪しげな甘い香りがする。

よく見かけるHEMのオピウムはむせかえるような甘さ、BHAKTAのオピウムはもう少し控えめで、植物っぽい甘さの香りがする。

スティックタイプのお香は、長時間揺れる煙も楽しみのひとつ。じっと見ていると気分が落ち着く。

「一生もの」はあるのか?

こんなタイトルをつけてしまったが、結論から言ってしまえば「ない」である(あくまで私の場合)。

「一生ものですよ」は、販売員のよくあるセールストークだ。そして「一生ものだから」は、得てして高額な買い物を自分に納得させるための言い訳にすぎない。

私は今まで「一生ものだから」という理由で何かを買ったことはない。賢いからではなく、幸か不幸か懐が寒いから。ハイブランドの素敵な服やアクセサリーに強く惹きつけられることはあるけど、単に私の懐が許さない。

私の今のところの「一生もの」は、小学校のお祭りで買った、小さな水鳥の焼き物。名の知られた作家の名品どころか、無名の小学生の手による数十円相当の作品だ。

しかし、これが何とも味がある。少し首を傾げた不思議な表情。これを作った子は今どうしてるんだろう。

焼き物というのは、遺跡から出土するくらいに耐久性がある。だから丈夫さという意味では、この小さな焼き物は十分それを満たしている。なおかつ、手に入れてから大分経っても、未だに私の心を離さない。やはりこの水鳥の焼き物が、現時点での私の「一生もの」だろう。

100均の品物でも、気に入ってずっと使えるのなら、それは「一生もの」だ。一生ものは必ずしも価格の高低に左右されない。

そもそも、人は一生のうちで変化する。価値観も、生活も、身体も。付き合う人間だってライフステージごとに変わっていく。その中で、ただ高品質で高額だというだけの品物が例外でいられるだろうか?

ことファッションにおいては価値観も重要。昔は流行ったが、今は恥ずかしくてとても着られないなんて服はごまんとある。流行は繰り返すとは言え、リバイバルしたものは、やはりその時代に合わせて型が少し変わっていたりするものだ。

このように「一生もの」はないと考える私だが、「5年、10年付き合えるもの」はあると思う。単純に耐久性の面からそう言えるものもあるし、あまり時代に左右されないデザインだから、ある程度長く使えるものある。

それでもやはり好みの変化や、身体の変化によって似合うものが変わったりして、大事にしてきたものともいつか別れる時がくる。モノの状態がよければ、捨てるよりは欲しい人の手に渡ってほしい。それがせめてもの願いというもんである。

オパナック1935

オパナックはセルビアのシューズメーカー。革ではなく天然ゴムで作られているため、農夫靴として親しまれた。そのラインナップの中でも、初代デザインを復刻したオパナック1935は、スマートに振り切らない絶妙な素朴さのデザインが特徴。

天然ゴム特有の柔らかな履き心地と、味のある少しチープな作り、4ケタという手頃なお値段。「もしかしたら降るかも、いや降らないかも」という日の足元は必ずこれである。

そんなオパナック1935の弱点は、くるぶし近くまで覆うデザインのため、そのまま履くとほぼ確実にかかとが靴擦れを起こすこと。正直、買う時に小一時間迷った。これは絶対に靴擦れする。困った。しかし履きたい。そこで、ない知恵を絞ってみたのがこれ。

普通の中敷きに、シークレットソールをくっつけたもの。これで、かかとを靴擦れする位置からずらそうという狙いだ。ビンゴ! 今のところ靴擦れせずに履けている。

基本的に、靴擦れしそうな靴は最初から選択肢に入れないのだが、頭を捻ってでも履きたいところがある、ちょうどいいデザインと機能性の靴なのだった。

https://www.opanak1935.com

Lue スポーク

真鍮が好きだ。それはもう無条件に。でも真鍮製のものとなると案外見かけないので、少しずつ集めている。Lueの真鍮製のスポークもそのひとつ。

大好きな真鍮と、スプーンとフォークが一体になったユニークな形に一目惚れ。湾曲した持ち手は意外と手に馴染む。

スポークはもともとアウトドア用品で、特に1グラムでも荷物を減らしたい登山によく使われるそうだ。Lueのスポークは重いので普段使い寄りだけど、案外と色々な料理に使えるサイズ感なのは、その出自のせいかもしれない。

真鍮は酸化しやすく、カトラリーなら洗ったあとすぐに拭くのが定石。でないと黒ずみが出てしまう。が、私はあまり気にしていない。経年変化が楽しめるのが真鍮のよさなのだし、気になった時にお手入れをするくらいの距離で付き合っている。

というわけで、見た目の美しさと使い勝手をほどよく兼ね備えた道具なのだった。

KINTO ウォーターボトル 300ml

「最高のマイボトルはペットボトル」と言って憚らない私だが(新しく何か買うより、今あるものを再利用したほうがいいでしょ)、年々厳しくなる日本の夏に、ついに音を上げた。氷入りの水が欲しい!

そう、最強マイボトルであるペットボトルにも弱点はある。飲み口が狭く、普通サイズの氷が入らないのだ。

それで、選んだのがKINTOのウォーターボトル。アクリルの涼しげな佇まいが好きで、もしマイボトルを買うとしたらこれにすると決めていた。荷物を軽くしたい私としては、小さめの300mlサイズもあるのが嬉しい。その代わり保温保冷機能はないけど、水自体が重いのだから、何と言っても軽さは捨てがたい。

フタの取っ手に指を入れやすいデザインなのもいい。最高のマイボトルたるペットボトルの弱点「フタを落としやすい」をクリア。

それにしても、透明でキラキラしているものって何故こんなに惹かれるのか。酷暑がマシにはならなくても、眼福がひとつ増えるくらいでなければやってられない。そんなわけで、これからよろしくな。